なぜ相続人が行方不明だと遺産分割が進まないのか

誰がどの遺産をどれくらい受け継ぐかを決める話し合いを「遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)」と呼びます。

この遺産分割協議は、必ず相続人全員で行う必要があります。たとえ長年音信不通で生きているかどうかも分からない相続人がいたとしても、その人を除外して勝手に遺産を分けることは法律上認められていません。

一人でも相続人が欠けた状態で行われた遺産分割協議は無効となり、銀行での預貯金の引き出しや、不動産の名義変更(相続登記)が一切できなくなってしまいます。

不在者財産管理人とは

戸籍などを調査しても行方が全く分からない相続人がいる場合、家庭裁判所に「不在者財産管理人(ふざいしゃざいさんかんりにん)」の選任を申し立てることができます。

不在者財産管理人とは、行方不明になっている人(不在者)に代わって、その人の財産を管理する人のことです。選任された不在者財産管理人は、家庭裁判所の許可を得ることで、行方不明者に代わって遺産分割協議に参加することができます。

これにより、行方不明者がいても適法に遺産分割を進め、預金の解約や不動産の名義変更を行うことが可能になります。

選任手続きと解決までの流れ

不在者財産管理人を選任し、遺産分割を終えるまでの基本的な流れは以下の通りです。

  1. 相続人の所在・行方調査|まずは戸籍謄本や戸籍の附票などを取得し、行方不明の相続人の最後の住所地を確認するなど、客観的な調査を行います。
  2. 家庭裁判所への申し立て|調査の結果、どうしても行方が分からない場合、行方不明者の従来の住所地などを管轄する家庭裁判所に、不在者財産管理人選任の申し立てを行います。
  3. 不在者財産管理人の選任|家庭裁判所による審査を経て、不在者財産管理人が選任されます。行方不明者と利害関係のない親族が選ばれることもありますが、適任者がいない場合は弁護士などの専門家が選ばれることが一般的です。
  4. 家庭裁判所の許可と遺産分割協議の実施|不在者財産管理人が遺産分割協議に参加するには、さらに家庭裁判所の許可(権限外行為の許可)を得る必要があります。許可が下りれば、不在者財産管理人が行方不明者に代わって遺産分割協議書に署名・押印し、無事に手続きを進めることができます。

複雑な調査もワンストップ対応|当事務所の強み

行方不明の相続人がいるケースでは、戸籍の収集による徹底した所在調査や、裁判所を納得させるための申立書の作成など、一般の方には非常に複雑でハードルの高い手続きが求められます。

弁護士法人いかり法律事務所では、事業や不動産などの大切な資産とご家族の絆を守るため、以下の強みを活かして皆様をサポートいたします。

  • 徹底した相続人調査と裁判所対応|弁護士が代理人として、煩雑な戸籍調査を行い、行方不明者の所在を徹底的に調査します。それでも見つからない場合は、不在者財産管理人の選任申し立てまで一貫してサポートします。
  • 他士業とのワンストップ連携|当事務所は税理士や司法書士と連携しており、遺産分割協議がまとまった後の不動産の名義変更(登記)や相続税の申告まで、あちこちの専門家を訪ねる手間を省き、窓口一つでスムーズに対応可能です。
  • 「納得の決着」を目指す丁寧なサポート|単に法的な結論を押し付けるのではなく、依頼者様の想いや感情に丁寧に向き合います。法的な「実利」と感情的な「納得感」の両立を目指す「納得の決着」を大切にしています。

まとめ

遺産分割において、相続人が行方不明である事態は手続きを進める上で大きな障害となりますが、不在者財産管理人の制度を適切に活用することで解決への道が開けます。ご自身で抱え込まず、専門家に頼ることが早期解決の鍵となります。

「行方不明の兄弟がいて手続きが止まっている」「裁判所への申し立て方法が分からず困っている」

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よくあるご質問

相続人の中に行方不明(長年音信不通)の兄弟がいます。その人を除外して、連絡が取れる親族だけで遺産分割を進めることはできますか?
いいえ、できません。遺産の分け方を決める「遺産分割協議」は、必ず「相続人全員」で行い合意する必要があります。たとえ何十年も連絡が取れず、どこにいるか分からない相続人であっても、その人を除外して勝手に遺産を分けることは法律上認められていません。一人でも欠けた状態で進められた遺産分割協議は法的に無効となり、銀行での預貯金の解約や、実家などの不動産の名義変更(相続登記)の手続きも一切行うことができなくなります。
行方不明の相続人がいる場合、どのように手続きを進めればよいですか?
まずは戸籍などの書類をたどって相手の足跡を調査し、それでも行方が分からない場合は家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てます。具体的には、亡くなった方の戸籍謄本や戸籍の附票などを取得して、行方不明の相続人の「最後の住民票上の住所」を特定し、手紙を送るなどの客観的な調査を行います。それでもどうしても所在が確認できない場合には、行方不明者の従来の住所地を管轄する家庭裁判所へ「不在者財産管理人」の選任申し立てを行います。
「不在者財産管理人」とはどのような人ですか?選ばれると何ができるようになりますか?
不在者財産管理人とは、行方不明になっている人(不在者)に代わって、その人の財産を適切に管理・保護する人のことです。選任された不在者財産管理人は、家庭裁判所から「権限外行為の許可」という承認を得ることで、行方不明者に代わって遺産分割協議に参加し、遺産分割協議書に署名・押印することができるようになります。これにより、行方不明の相続人がいても、法的に有効な遺産分割手続きを完了させることが可能になります。
不在者財産管理人には、どのような人が選ばれますか?他の共同相続人がなることはできますか?
遺産分割の当事者(利害関係人)である他の共同相続人は選ばれません。行方不明者と利害関係のない親族や、弁護士などの専門家が選ばれます。不在者財産管理人は、行方不明者の財産を公平に守る立場である必要があります。そのため、遺産を分け合うライバル関係となる他の相続人が管理人になることはできません。実務上は、利害関係のない親族が選ばれることもありますが、適任者がいない場合や、不動産の処分などの複雑な判断が伴う場合は、法律の専門家である弁護士や司法書士などが裁判所によって選任されるのが一般的です。
不在者財産管理人が選ばれたら、遺産分割の内容はどのように決まりますか?行方不明の相続人には財産を渡さなくてもよいのでしょうか?
いいえ。不在者財産管理人は行方不明者の財産を守る義務があるため、原則として、その人の法定相続分(法律上の取り分)を確保した公平な遺産分割案を作成する必要があります。「行方不明だから遺産はゼロにする」というような、不在者に一方的に不利な分割案では家庭裁判所の許可(権限外行為の許可)が下りません。一般的には、行方不明の相続人の法定相続分に相当する現金を不在者財産管理人が管理し続ける(将来本人が現れた際や、失踪宣告の手続きを行うまで保管する)形で遺産分割協議を成立させ、預貯金の解約や不動産の名義変更を進めることになります。