公正証書遺言があっても「遺留分侵害額請求」はされる?

公証役場という公的な機関で作成される公正証書遺言は、法的に非常に強力な効力を持ちます。遺言書に「全財産を妻に相続させる」と書かれていれば、原則としてその通りに財産を引き継ぐことができます。

しかし、法律(民法)は残された家族の生活を保障するため、兄弟姉妹を除く一定の相続人(子どもなど)に、最低限保障された遺産の取り分である「遺留分(いりゅうぶん)」を認めています。

そのため、遺言によって自分の遺留分が侵害された(もらえるはずの最低限の財産がもらえなかった)相続人は、財産を多く受け取った人に対して「私の遺留分を金銭で払ってほしい」と請求することができます。これを「遺留分侵害額請求(いりゅうぶんしんがいがくせいきゅう)」と呼びます。

つまり、たとえ公正証書遺言であっても、遺留分を持つ相続人からの請求を完全に防ぐことはできないのです。

請求された時の対処法と、金額を減額するためのポイント

もし遺留分侵害額請求をされた場合、「請求された金額をそのまま支払わなければならないのか」と不安になるかもしれません。しかし、相手の言い値に応じる必要はありません。以下のポイントを押さえて対応することで、請求額を適正な金額まで減額できる可能性があります。

  • 遺産の「評価額」を見直す|遺留分の金額は「遺産全体の価値がいくらか」によって決まります。現金であれば金額は明確ですが、実家やアパートなどの不動産が含まれる場合、「いくらの価値として計算するか(評価額)」によって遺留分の金額が大きく変動します。相手が都合の良い(高い)査定額を出してきている場合は、こちら側でも適正な査定を行い、評価額を引き下げる交渉が必要です。
  • 相手の「特別受益」を確認する|特別受益(とくべつじゅえき)とは、請求してきた相手が、被相続人(亡くなった方)から生前にマイホームの購入資金などの多額の援助を受けていた場合、それを「遺産の前渡し」とみなすルールのことです。相手に特別受益があれば、その分だけ相手の遺留分を減らすことができます。

当事務所の解決事例

実際に、相手からの請求額をそのまま支払わず、弁護士の交渉によって適正な金額まで減額できた事例をご紹介します。

前妻の子からの遺留分侵害額請求を約30%減額して解決

ご依頼者様|50代 女性

ご相談の背景|亡き夫が「ご依頼者様(現在の妻)に全財産を遺贈する」という公正証書遺言を残していました。遺言通りに手続きを終えた後、夫の前妻の子から遺留分侵害額請求を受けました。ご自身での交渉は難しいと考え、当事務所へご依頼いただきました。

主な争点|遺産の中に経過年数の長い古い不動産が含まれており、不動産の資産価値(評価額)が最大の争点となりました。

弁護士の対応|当事務所の弁護士が代理人となり、相続財産目録を作成。不動産の評価額について、当事者双方で別々の査定書を取得して比較・交渉を行いました。

解決結果|時間と費用の掛かる裁判(訴訟)や不動産鑑定を回避し、双方の査定額の平均値を評価額とすることで合意。結果として、相手の当初提示額から約30%減額した約300万円での合意が成立しました。

ご依頼者様からは「心身ともに辛い時にささえて私を救ってくださった救世主の先生に心から御礼と感謝を申し上げます」とのお声をいただきました。

このように、遺産の範囲や不動産の評価額を正確に調査し、法的な根拠に基づいて粘り強く交渉することで、大幅な減額が可能になります。

遺留分トラブルを「納得の決着」へ|当事務所の強み

遺留分のトラブルは、法律の専門知識だけでなく、親族間の複雑な感情が絡む非常にデリケートな問題です。弁護士法人いかり法律事務所では、以下の強みであなたをサポートします。

  • すべての交渉を弁護士が代行|弁護士が代理人として相手方との連絡・交渉をすべて引き受けます。直接話すストレスや、「言いくるめられてしまうのではないか」という不安から解放されます。
  • 「納得の決着」を目指すサポート|私たちは単に法律論を押し付けたり、声の大きい人が勝つような場にはしません。依頼者様の「想い」に寄り添い、法的な「実利(経済的利益)」と感情的な「納得感」の両立を目指します。
  • 不動産に強いワンストップ体制|上記の事例のように、遺留分問題では不動産の評価が鍵となります。当事務所は代表弁護士の不動産知識に加え、提携する税理士や不動産鑑定士、司法書士と密に連携しており、評価から登記の手続きまで窓口一つで対応可能です。

まとめ

公正証書遺言があっても、遺留分侵害額請求を受けるリスクはゼロではありません。しかし、相手の言い値に慌てて応じる必要はなく、不動産評価の適正化や特別受益の主張などにより、請求額を正当な範囲まで減額できるケースが多くあります。

「請求された金額が妥当なのか分からない」「相手と直接話すのは精神的に苦痛だ」

福岡で遺留分のご請求を受けてお悩みの方は、弁護士法人いかり法律事務所へお気軽にご相談ください。当事務所では初回60分の無料相談を実施しております。あなたの正当な権利と財産を守るため、私たちが全力で伴走いたします。

よくあるご質問

亡くなった親が「すべての財産を別の人に譲る」という公正証書遺言を残していました。私は1円ももらえないのでしょうか?
公正証書遺言であっても、兄弟姉妹を除く一定の相続人(配偶者や子どもなど)には、法律で最低限保障された遺産の取り分である「遺留分」が認められています。そのため、財産を多く受け取った人に対して「遺留分侵害額請求」を行うことで、金銭を取り戻せる可能性があります。
相手から突然、高額な遺留分侵害額請求をされました。言い値で支払わなければなりませんか?
いいえ、相手の請求額をそのまま支払う必要はありません。遺産の中に実家などの不動産が含まれている場合、その「評価額」を適正に見直すことで請求額を減額できる可能性があります。また、請求してきた相手が過去に多額の生前贈与(特別受益)を受けていた場合、それを主張することで遺留分の金額を減らすことも可能です。
不動産の評価額について、相手と意見が合いません。どうやって決着をつけるのですか?
不動産の評価額で争う場合、時間と費用をかけて裁判所で「不動産鑑定」を行う方法もありますが、当事務所の解決事例では、当事者双方がそれぞれ査定書を取得し、その「平均値」を評価額として合意することで、裁判を回避しつつ適正な金額(約30%減額)で早期解決に導いたケースがあります。
前妻の子から遺留分を請求されています。直接話したくないのですが、どうすればいいですか?
遺留分の問題は親族間の複雑な感情が絡むため、当事者同士の直接のやり取りは大きな精神的ストレスになります。弁護士にご依頼いただければ、弁護士が代理人としてすべての連絡や交渉を代行するため、相手と直接話す不安やストレスから解放されます。
弁護士に依頼すると、どのようなサポートを受けられますか?
当事務所では、単に法律を押し付けるのではなく、法的な実利(減額などの経済的利益)と感情的な納得感の両立を目指す「納得の決着」を大切にしています。また、不動産の評価や登記、税務などが絡む場合でも、提携する不動産鑑定士、税理士、司法書士と密に連携しているため、窓口一つで総合的(ワンストップ)にサポートできます。